音楽にまつわるエトセトラ | 『だれが「音楽」を殺すのか?』読了。

これ、長いです。

音楽配信メモ主宰のライター、津田大介さん(中日ファン)が今音楽業界を取り巻く様々な問題--輸入権、CCCD、iTMSなどなど--を解りやすく解説してくれてます。

4時間くらいかかって読み終えたんですが。

一昨年くらいから今年にかけて日本の音楽業界で起きた「CCCD問題」「輸入CDが買えなくなるかも?問題」、音楽というよりネットの世界で起きた「47氏逮捕事件」など、法律vs一般市民の構図がやたら目につく昨今。
当方、密かに「私たち音楽関係者は、著作権法改定による輸入CD規制に反対します」の署名に参加してたクチなのだが、他にもきっとここ見てる輩だったら、いろんな人がやってた署名に参加してたのではないかしら。でもぶっちゃけたところ、中には「よくわかんねぇけど、なんかむかつくから反対」的な人も絶対にいたと思う。そんなあなたにこそ読んで欲しい一冊。音楽コア・リスナーにももちろんだけど。

ひとつ前置きしておきたいのは、この本が必ずしも、一方的にアンチ・イズムをぶつけてはいないということ。調べて、いろんな人に会って、どっちの立場の人も見て、その上でまとめたなあとの印象を受ける。“音楽ファンが業界やレコード会社、業界に求めるのは何だろう”。結論はシンプルに「そこ」だ。

曽我部恵一のインタビューが中盤載っているのだが、そこに出てくる「今、音楽は『フリー』じゃないよね」。フリーダムなマインドが欠落している業界に蹴り入れた格好となっているが、この言葉がすごく象徴になっている気がする。

・安い輸入版があると日本盤が売れないから、輸入禁止しちゃえ。
・CD売れなくなったのって、みんながガンガンコピーしてるからってことにしてCCCD出してお茶濁しちゃえ。
・MP3の音楽配信とか新しいメディアに移行すんの、考えること多くて面倒だから、法律でうまいことごまかしちゃえ。

って考えが上層部にある限り、そこはクリエイティヴな場所には一生ならない気がする。

確かにツタヤで借りたのをCD-Rに焼くこともありますよ。
友達から借りることも、会社からサンプル借りることもあるけれど、自分が聴くものなのに何故そこにプロテクトかけられるんだ?
そんな思いで私はCCCDには反対派の姿勢をとっていたし、輸入権の時は消費者無視のお役所仕事だなと思ったので反対を表明した。

だいたいCCCDはMacに入らない。
何度かうっかり入れて大丈夫だった盤もあったけど、基本的にはHDDが壊れる確率が60%。
コンポもあるけど仕事の時はたいていMacで音楽を聴く。そんな人も多かろう。
冒涜だと。マカーをバカにすんなよと。
そういった意味で余計にCCCDには腹が立っていたことも事実。
なので「ザマミロじゃ!」といいながらリッピングも、そりゃしますがな。
(壊れてもいいように作られたそれ用のWinマシンで)
リッピング出来た段階で気が済んじゃうんだけど。
「なんだ、コピープロテクトもこのレベルか。けっ!」。
リッピングし終わったCD-RをMacに入れてiPoddingと。

最初は買ったCCCDをリッピングしてたんだけど、それもアホらしいのでツタヤです。

しかしながら、自分の中で「これは買う価値のあるもの、これはレンタルでいいもの」と切り分けて考えてる節がある。
本当に手元に残したい上質なもの、ジャケットのアートワークもひっくるめて「買い」なもの、理由はまちまちだが、大枚はたいてもいい!と思わせるだけのパワーがそれらにはある。逆に言ったら、コピーでいいや、な音楽にはその力が足りてないことになる。

そして、買うか買わないかを振り分けるために必要なアクションとしての、試聴。
最近面白い音楽がホントにFMで聴けなくなった。
「いいよ、その曲知ってるよ。MTVで見てるよ」。

私が欲しいのはそうじゃなくてもっとアグレッシヴにこの耳にアプローチしてくる得体の知れない音楽。キックの音一発聴いただけでドキドキするような素敵な音楽。

それを探すとなると、残されたメディアは、インターネットの世界。
洋楽だとネットにreal audioやMP3が落ちてるので比較的サウンドチェックして買いにもいけるが、日本のアーティストの場合はほとんどそれが出来ない。その理由はJASRAC。著作権だ。

着メロ作る会社に2年ほどいたので、音楽配信とJASRACの関係は、部署違うなりにもそこそこ把握はしてたつもりなんだけど、原盤の有無で権利がどこかが変わって来るとか、知らない情報が本にはたくさん載っていた。モンパチの着メロの件など、ちょっと申し訳ない気持ちになりつつ読んでみたり。

自分で作ったものなのに自分に決定権がない。
おかしな話だなあ。
違う畑のクリエイティヴに話を変えてみたらどう思うだろう。
自分で描いた絵なのに、売る売らないを自分で決められないとか。
勝手にシルクスクリーン版を版権持ってる業者が売っちまうこと、そういえばあるか。
でもそういう時絶対裁判とかでもめてるよね。

アート的見地からパッケージ売りに固執してたけど、iPodユーザーになった今、MP3流通ってのもアリかなと思い始めてる。今アナログが残ってるように、MP3流通のおかげでCDとかのメディアが消えたりはしないと思うんだけど、やはりニーズに合わせてマーケットってのは動く必要があるし、必然だと、思う。それはユーザビリティに配慮したやり方でお願いしたいところだが。
(まだMac対応の音楽配信が少ないので恩恵受けてないのが実情だが)
ライトユーザーは知らないけど、ホントに好きだったらちゃんとみんな法とか守るし、きっと。ああいうのって言葉ひとつで、同じことやるでも反論出たり、素直に受け入れたり、リアクション変わるじゃない。

最近、奥田民生の新譜がCCCD回避出来たり、やっとミュージシャンの声が上に届いて来たけど(SME的には大きな判断だったんだろうなあ、流れ見ると。)レコード会社のスタッフ間もそうだし、対ミュージシャンもそうだし、どこか発言統制というか、言ったところで変えらんないからじゃあいいよ、的な悪い意味で日本的なムードがあったことは否めないだろう。
それから買う側も作る側も法律に無知過ぎた。
最近知らない間に変な法案が次々通る。だれもそれに異論は唱えないのかなあ。
「おっさん、お前らおかしくねぇ?」と。

だいたい、政治家の力は何ゆえにそこまで強いのだ。
そもそも国会議員と言うのは国民の代表者ではなかったか?
己の利権のために動いてどうする。

とあるBBSで、というか母校のOB会のだけど、制服も校則もなくて自由が売り物だった高校だけど、校長が今年度の目標に入れちゃったという理由で、『標準服』を制定しようと、反論はばっさり切り捨ててワンマンで突っ走っているのだ。
実際問題、東京都の学校改革で実験台っていうか槍玉にまっ先に上がったのが都立高校で、慎太郎がいろいろためそうとしてるんだと思うんだけど、当然OBからは反論が出る。それがBBSで論じられているのだが、基本は記名書き込みのその掲示板で、ある方が匿名で書き込んだ。
「政治的に利用するのは御遠慮下さい」。

そもそも私のいたころは、思想も何もかもが自由だった。
自由=何でもアリではないことも何度も注意されたが、それも解った上で自治を守って楽しくやっていた。
書き込まれた方はもしかしたらもっと下の世代かもしれない。確かに自分たちより下の世代は、自治力に欠けるというか、自由であることが逆に窮屈だったのかなあ、選択肢をくれないと不安なのかなあ、そんな印象もある。

そこでふと思う。
「一国民」として生活する身では、政治のことを考えてはいけないのか?
政治的なことって、考えたらそんなにダメかなあ?
「あいつ寒い」とかいってばっさり切り捨てますか?
だって、自分の国のこと自分で考えなくてどうする?
自分の家の家計は自分で考えるでしょ?国の財政に気持ちが及ぶのも当然じゃない?
国民の代表で選ばれてる議員が悪事ばっかりの今、選んだ方も頑張ってチェックするために、政治の事考えて、知らないとダメじゃない?
新選組見てたら言ってたの。10代は地元の事を考え、20代でもうちょっと広範囲な自分の街の事を考え、30代で国を思えと。
もう30も近いから国の事とか考えるんだけどさ、それってそんなにおかしいこと?

もちろんね、政治と宗教と思想は自由であるべきだと考えます。
だれがどんなことを思っててもいい。基本的には相手の思想をまず尊重したい意向です。
でもね、私の考えも、同様に私のモノなのだ。
“お互いに”尊重するシステムがないと、いろんなところの人間関係がダメになる気がする。

話をだいぶ戻すと、輸入権問題やCCCDに関して、一般消費者の意向はことごとく無視されて突っ走られてしまった。
行き過ぎを覚悟で表現すると、ここは北朝鮮か?
まるで独裁国家ではないか。

文中に出てくるミュージシャンやその周辺の人物には「聴いてくれてそこから何かを感じて、気に入ってくれるならコピー上等だ」。そんな意見を言う人もいる。
それが多少極端だとしても。日本には写経という文化がある。お経を書き写すあれだけど、大昔って本とか買えなくて、文献をみんな書き写して広めていったり、していたわけですよ。そして、今は減ったけど、貸本屋という職業。若くてお金がないけどスポンジみたいに情報はぐんぐん吸収出来る、一番いい時期の人間に昔は情報をなんとかして与えることが出来た。

あれもダメ、これもダメと教育ママみたいに取り締まる一方じゃなくて、情操教育に役立つような、は言い過ぎだけど、市場をいい風に活性化する策を考えて欲しいと思う。
本当に上質なクリエイティヴを世に送りだすために、一般国民を犯罪者扱いするごとく巨額を投じてコピープロテクトかけたりする前に、もっと考えることあるんじゃないかしら。
そして買う側である我々も、ニュートラル決め込まないで、思ったことはぶつけないと何も変わらないんじゃない?
本当にいいものを作りたいアーティストと、いいものだけを聴きたいユーザーの気持ちが同期した時には、新しい何かが生まれるんじゃないかなあ。

いち音楽好きとして、業界に片足つっこんだ者として、そんなこと思うのです。

--読書感想文に代えて。

(kikka303) 2004年10月18日 05:30 | カテゴリ: 音楽にまつわるエトセトラ
コメント

なんだ、津田大介って津田か(鬼のように当たり前な言い回し)
まあ色々書くと長くなるんであれですが、自分の持ってる権利っ
て死ぬ気で守らないとすごい勢いで蹂躙される時代になってきて
ますねって事で。

それだけ。

sabadragon : 2004年10月18日 17:44

あ、sabaさんの学年1つ下になるのか。そか。
自分も作る側の人間だったりもするのでいろんな事考えてしまった。
そんな意味でクリエイティブコモンズには興味あり。

kikka303 : 2004年10月18日 23:32
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